鷺沢文香「特別な一日にこそ、何でもないひとときを」

17pt   2018-12-06 20:22
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引用:https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1540566003/
1 : ◆TOYOUsnVr. : 2018/10/27(土) 00:00:06.18 ID:kQQBGx/C0

東から射し込む陽の光。

携帯電話が鳴動する音。

それらによって、私は目が覚めました。

まだ完全に開き切らない瞼のまま、枕元を手当たり次第に探します。

やがて、こつんという感触に行き当たり、ようやく携帯電話は静かになりました。

画面に表示された時刻を見て、頭がゆったりと回転し始めます。

起きて、顔を洗い、身支度を整え、お化粧をして、余裕があれば朝食を。

そんな具合で、やるべきことに優先順位をつけてみるなどするほどに、思考は平常の回転数を取り戻していきます。

一方で体はと言えば、未だベッドの縁に腰掛けたままでした。

大変な難関が立ち塞がっているためです。

第一工程から第二工程までの“立ち上がる”という難関が。

2 : ◆TOYOUsnVr. : 2018/10/27(土) 12:00:07.86 ID:kQQBGx/C0



やっとの思いで意を決し洗面所へと辿り着き、顔を洗います。

ひんやりした水によって、ぱちんともう一段ギアが上がったような心持ちになりました。

もちろんそれは錯覚でしかなく、速度自体にそう変化はないのでしょうけれど。

さて、と手早く寝巻きを洗濯機へと放り込み、秋の朝の冷たさから逃げるように自室へと舞い戻ります。

寒さは着る衣服に悩む余裕を奪ってくれるという点で優秀と言えるでしょう。

思い悩む時間を短縮できるのですから、こと忙しない朝に於いては非常に。

そんなくだらないことを考えながら、今日の衣服へと着替えると、次いではドレッサーの前へ座り、あれこれと化粧品を机上へ並べます。

朝の支度のなかに、もう当然のように入っているこのお化粧という工程すら、数年前の私にはなかったものであることを考えれば、人生は何があるか分かりません。

などと、よくわからない感傷に浸りながら、自身の顔を粧していく私なのでした。

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