モバP「あの頃僕はまだ若くて、酒に酔っていて、恋をしていたんです」

196pt   2017-12-14 21:05
SSマンション-SSのまとめブログ-

1: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 21:55:21.55 ID:wcEmlh/t0

アイドルマスター シンデレラガールズのSSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1389876921


2: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 21:55:52.38 ID:wcEmlh/t0

塩見周子「やっほーPさん。今日もまたご飯食べさせてよ」

P「ほれ、都こんぶ」

周子「にくいね~。でも喉かわいちゃうかな~。
お茶が怖いな~」

P「飲み差しでよければやるぞ」

周子「ん~梅昆布茶ね。こぶがダブっちゃうかな」

高峯のあ「……」つ旦

P「どうものあさん、いつもおいしい梅昆布茶ありがとうございます。
このとろみがたまりません」

 

 

3: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 21:56:27.16 ID:wcEmlh/t0

のあ「……完璧でなければ面白くないわ。
……器を2つ用意した意味……Pは理解している?」

周子「こっちは白湯なのね。のあぴょんシューコに優しいから好きかなー。
どっか食べに連れてってくれたら、Pさんの事も好きになっちゃうかもなー」

のあ「……貴方、仕事をしなさい。私の為に。
運命の女神が与えたもうた宿命を拒絶せねばならないわ」

P「仰せのままに。そんな訳で今日は駄目だ。
のあさんみたいに働いてくれるなら、俺も周子の事好きになるよ」

周子「あちゃー、Pさんそれは気色悪いわ。ドン引きかなーって」

P「ほっとけ、こちらとてこのままだと魔法使いへ向けて一直線なんだ。気の利いた言葉なんて言えませんよ」

 

 

4: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 21:57:13.43 ID:wcEmlh/t0

速水奏「のあさんの梅昆布茶美味しいって評判よね。特にPさんから」

P(自虐をスルーされるとそれはそれで悲しいが、すかさず話題を変えてくれるのはありがたい。
だけど奏、背中に爪を立てるのは止めてくれ。俺が何か悪い事したみたいじゃないか)

のあ「クリームで窒息させるだけが猫の殺し方とは限らない。
……気まぐれな戯れに私の愛液をたっぷりと入れてあるの」

P「( ´゚Д゚)・;’.、カハッ」

奏「コツはあるのかしら? 試してみたいわね」

のあ「お茶を入れたら美味しくなーれ美味しくなーれと声をかけるのよ……可能性を信じることね。
猫にも王様は見られるの」フキフキ( ´∀`)つ□(;;-;д;-:;)

P(ああ愛情ね、びっくりした。よりにもよって愛液と聞き間違えるとは―――溜まってるのかな。
慣れない仕事に手いっぱいで処理する気分になれなかったし)

 

 

5: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 21:58:54.18 ID:wcEmlh/t0

周子「ねーのあぴょん。なんでヌードモデルのお仕事なんて探してきちゃったの?
美大生達相手でも恥ずかしくなかったかな」

のあ「衣装はただの外装、私の本質ではないわ。私という個は不変の存在。
私はPの求める役割を得て……ファンを魅了する。それが私たちの……相互に繋がった……関係」

P(成る程、周子と奏には俺がのあさんみたいに脱げと命じた様に聞こえたのか。そりゃ年頃の娘さんには嫌われるわな。
確かにのあさんの肢体は眼福だったが、芸術的でいやらしい意味には受け取れなかった。まあ後で2人にフォローはしておこう)

周子「また鼻の下のばしてる。Pさんどこ見てるのかバレバレだから」

のあ「全ての事象は可能性に基づく……起こり得ることしか起きない……。
私のこと……貴方が私のことを考えるのに……理由が必要だとでもいうの」

奏「隠し味は愛情って言うけど、気づかなければ意味ないわよねぇ。
私は早速試してみるけれど……Pさんは顔、洗ってきた方が良いと思うの」
『Pさんこういう時の言葉って大事よ? もう、鈍感なんだから……』

P「ならお言葉に従って休憩入れますよっと」
『胆に銘じておきます』

塩見周子(18)
https://i.imgur.com/t9SSiSx.jpg

高峯のあ(24)
https://i.imgur.com/WGKJHSJ.jpg

速水奏(17)
https://i.imgur.com/nN2abxA.jpg

 

6: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:00:50.08 ID:wcEmlh/t0

川島瑞樹「はいP君、おしぼりよ」

P「ありがとうございます。
トイレから出るなり即渡されると、そういった御店みたいですね」

瑞樹「そう感じるのならば、そういった経験もあるのよね。
お酒は付き合わないって聞いていたのだけれども、いかがわしいお店へ通っているのかしら?」

P「飲めますけれど悪酔いしますので、僕お酒は控えているんですよ。
それと御店については接待の場でもありますので、お察しください。
ただ個人的には好ましい場ではないとだけ述べておきます」

瑞樹「残念。飲めるんだったら今日の女子会へ参加して欲しかったのに。
なんと文香ちゃんが女子会デビューなのよ。一緒に楽しまない?」

P「女性同士おしゃべりに楽しく花を咲かせてください。
僕は独り寂しく家でDVDでも見ていますから」

 

7: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:02:52.80 ID:wcEmlh/t0

瑞樹「それってエッチなビデオよね。
まあPくんも若いし、彼女のいない男の子だと仕方がないわよね」

P(図星なだけに反論できない)
「川島さん。今の時代は全部DVDソフトですので、ビデオ呼びは年齢面で問題かと愚考いたします」

瑞樹「メっよ。お姉さんをからかうなんてイケない子。
テープもソフトも全部ビデオ呼びで大丈夫なの。ビデオは映像の意味だし引っかかったりしないんだからね。
お見合いに失敗したって話を聞いて、慰めてあげようと思ったのに」

P「よくある事ですから。もう何連敗なのか数える事も止めました」

瑞樹「何が悪いのかしらね。P君の顔は下の上ってとこだけど味があるし、万人受けはしなくても好みの人もいると思うのよ。
ほらあのぴにゃこらた人形みたいで私の好みでもあるし、もっと自信を持って大丈夫よ」

P「何が悪いって訳ではないんですよ。ただ何となく気に入っていただけないだけなんです。
幸い社長は顔が広いので、またいずれどなたかを紹介してくださればと思っています」

これは本当の事、嘘では無い。だから勘のいい川島さんでも真実へはたどり着けなかったのだろう。

 

8: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:04:21.10 ID:wcEmlh/t0

瑞樹「でも何度も失敗してばかりだと、社長の顔に泥を塗るし先方も良い顔をされないんじゃ?」

P「確かにそうですね。ですが見合いを通じてより良い関係を築けたと、結果的に社長の人脈は深まるばかりですよ。
手間と恥をかかせた分、プロデュース業に精を出して恩返しをするつもりです」

そう、あれは絶対に成立しない見合い。相手女性は必ずしも結婚に前向きな人ばかりではない。それは何よりも社長が良く知っている。
だから僕が選ばれる、なんとなく不合格の相手として。世の中には見合いを行ったとの建前が必要なのだから。

瑞樹「じゃあ私のプロデュースもしてもらいましょうか。P君がやる気を見せるだなんてこれは大事件よ。
もう今夜の予約は入れちゃうからね。今日を新生P君の記念日にしちゃいましょう」

今まではただなんとなく生きてきた。
だからこの時もただ何となくどうにかなるだろうと、そんな風に僕は考えていた。

川島瑞樹(28)
https://i.imgur.com/IqrSe5O.jpg

 

9: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:05:57.28 ID:wcEmlh/t0

和久井留美「Pさん、今日は記念日と聞いたわ。
私と貴方の大事な日ということでいいのかしら?」

P「はい。鷺沢さんが初参加と聞きまして、新参者同士親睦を深める事が出来ればと。
和久井さんの初参加には御一緒できませんでしたが、今日をその代りの大事な日にしたいですね」

瑞樹「留美さん、油断してると食べられちゃうわよ。
なんと今日はP君がプロデューサーを目指すと宣言したんだから」

千川ちひろ「えっ! Pさんてプロデュース志望だったんですか。
てっきりこのまま社長の鞄持ちになるものだとばかり」

P「まあ、その辺はおいおい話しますよ。それよりも女子会って事務所での御茶会だったんですね。
川島さんの口ぶりからお酒の場かと思って、二の足を踏んでいたのですが」
(ちひろさんが参加しているとは思わぬチャンス。これを機にもう少しお近づきにならなくては)

 

10: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:07:29.70 ID:wcEmlh/t0

瑞樹「だってお酒飲むの私だけなんだもの。あーあ、P君に付き合って欲しかったわ。
手酌で一人酒だなんて、ミズキ寂しい」

鷺沢文香「川島さん……紅茶私がお注ぎしますから……。
叔父さんは美味しいって褒めてくれますし……自信はあります」

ちひろ「正客の文香ちゃん未成年ですし、今日は御茶会ですよ。
ちなみに私マイカー通勤ですので、お酒の場は何時も御遠慮させいただいてます」

黒川千秋「食前酒位はいただくけれど、川島さんのペースには付き合えなくて」

P「和久井さんは飲まれないんですか? お誘いは多いでしょう」
(うーむちひろさんの近くに座りたかったが、隣は黒川さんがいるのか。こういった場へ顔出すような人には見えなかったけれど。
正直苦手なんだよなー、のあさんとは違う意味で人を寄せ付けないオーラバリバリ出してるし)

 

11: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:09:38.76 ID:wcEmlh/t0

留美「飲もうと思えば飲めるのだけれども前職の癖が抜けなくてね、未だにお酒は楽しめないの。職業病よね」

P「と、言われますと」チラチラ
(そして鷺沢さんに至っては無口すぎてどう扱えば良いのかまったく判らない。
幸い席は隣だし、まめに表情を観察しながら手探りで話題の反応を探そう)

留美「お酒を飲むと人間口が軽くなるでしょう? だから機密を扱う秘書はお酒を飲まない事が良しとされるのよ。
実際私に声をかけてくる男も産業スパイとかばかりで、魂胆が透けて見えるから丁重にお帰りいただいていたわ。
酷いのになると私が小学生時代に転校した友人の婚約者を偽ってアポを入れてきたりするのよ。まったくどこで調べてくるのかしら」

瑞樹「私の分にだけはブランデーも入れてね。それじゃ親睦会の始まり始まり~~。
皆、本音で語っても大丈夫よ。そうやって仲良くなれるんだから」

座席
ちひろ 千秋
留美□□□□□□モバP
瑞樹  文香

 

12: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:10:57.93 ID:wcEmlh/t0

――――

文香「……」

千秋「……」

瑞樹「それでねそれでね、もうPaPさんの音葉ちゃんへのアプローチが凄いのよ」

P「パッション部門の親睦会、先週はバーベキューでしたよね。
PaPさんが梅木さん誘う場に周子も居合わせたらしくて、一緒に御呼ばれされたって話してくれました」

留美「PaPさんの音葉ちゃんを見る目、獲物を狙う野獣のそれよね。
本気でパッションへと引き抜こうとしているんじゃないかしら?」

ちひろ「皆さん想像豊かですね~。でも藍子ちゃんと音葉ちゃん仲良しですし、ユニット組んだりしちゃうかも」

 

13: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:11:47.90 ID:wcEmlh/t0

瑞樹「誘いが来るうちが花よね。音葉ちゃん羨ましい。
お正月もクリスマスも誘われたって食事なんて無理よ、特番あったんだから。
断るしかないのに男共ときたら御高くとまってるだなんて陰口叩いて、若い子をちやほやし始めるんですもの」

文香「……」

千秋「……」

ちひろ「俺と仕事とどっちが大事なんだって奴ですね。
実際そんな場面になったら大変でしょうね。事務所にカミソリレター送られた事もありましたし」

留美「CuPさんの話ね。後腐れなく決着がついて本当によかったわ」

P「その辺り詳しくお願いします。まだ事務所の事をよく知らないもので」

 

14: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:12:50.06 ID:wcEmlh/t0

留美「そんなに気分の良い話じゃないわよ。CuPさんが奥さんを―――当時はまだ内縁の彼女ね、妊娠させてしまったの。
だけどそれが分かった時にはCuPさんアメリカツアーの最中で、全然連絡取れなくてね」

ちひろ「お二人は両家の顔合わせも済ませていましたし、おめでた自体にそこまでの問題はなかったんです。
でもその時奥さんパニックになっちゃって」

留美「常日頃から誕生日・クリスマス・初デートと記念日をアイドル優先ですっぽかされる上に、CuPさん碌にフォロー入れてないものだから」

ちひろ「奥さんCuPさんがアイドル達と浮気してるって妄想に取りつかれて、こう別れて下さい的なお手紙をですね」

文香「……」

千秋「……」

P「すみません、気軽に聞くべき話ではなかったですね」

留美「不幸な行き違いが重なっただけのことだし、CuPさんが結婚を前倒しして丸く収まったのだからあと何年かすれば笑い話になるわ」

ちひろ「この空気やっちゃいましたか、つい口が滑っちゃって。
じゃあ話題を変えて、この件以来社長はお見合いの斡旋に力を入れだしたんですよね」

 

 

15: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:13:59.27 ID:wcEmlh/t0

瑞樹「結婚! そうよ、この際もう女の子でもいいわ。ルーミン私を養って」
(さすがに見合いの話題はまずいわね。P君がこれ以上落ち込んだら文香ちゃんの女子会デビューが台無しになっちゃう)

留美「もう酔ったの? 文香さんブランデーどのくらい注いだのかしら」

文香「……」オロオロ

瑞樹「いいじゃない、こないだマンション買ったって言ってたし。花嫁修業もしたいのよ」
(御願い留美さん捨て身の私に気付いて。とにかく話題を変えたいの)

留美「! 代官山にね中古だけどとても良い物件があってね、思わず買ってしまったの」

ちひろ「すごいなー憧れちゃうなー。和久井さんて資産家だったんですね」

留美「でもそのおかげで前職の蓄えを吐き出しちゃって、懐が寒いのよ。
P君プロデュース志望なんでしょう。私の担当になってくれないかしら? お仕事がしたいのよ。
それか―――良い人を紹介してくれても構わないのだけれど。立候補してみる?」

 

16: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:33:10.39 ID:wcEmlh/t0

P「良い人と言われましても、人には好みが有りますしね。
例えば僕は髪の長い女性が好きなんですけれども、ちひろさんはどんな男性が御好みですか?」

ちひろ「ホントですか~? Pさん周子ちゃんと随分仲良さそうに見えますけど。
私が仲良くさせて頂いている男性ですと、ついこの間までジョージ・ワシントンに浮気をしちゃってまして。そろそろ本命に戻ろうかな~と考えているんです。
満期を迎えれば福沢諭吉のおじ様が満面の笑顔で迎えてくれるんですよ。やっててよかった外貨預金、好景気様々ですね」

P「そう……でしたか。参考になります」
(ガード固いなーちひろさん。髪が長いってだけじゃ気付いては貰えないか)

千秋「御付き合いする相手に特に好みと言ったものはないわね。どうせ父が決める事だし。
幾人かの求婚者のどなたかと、折り合う事になると思うわ」

P(えっこの話題に食いつくの! それって自慢? まずいでしょ川島さんに追い打ちかけちゃ)

 

17: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:37:29.61 ID:wcEmlh/t0

文香「……」じー

P「鷺沢さん何か」

文香「……昼間……Pさんは御自分を魔法使いと仰っていましたよね……どの様な意味なのでしょう?」

P「( ´゚Д゚)・;’.、カハッ」
(どこからどう見ても清純派な鷺沢さん相手に自虐の下ネタを話せと。これが自業自得って奴なのか……神様助けて下さい)

文香「私……気になります」じー

P「それは童貞の事です」
(終わった。下手に誤魔化すのも無理があるし、正直に言えば引かれるだけでなんとか……いややっぱり無理だろ嫌われるに決まってる。
この状況を御褒美だと言える程、上級者じゃないよ俺。女の子から白い目で見られるのって心が痛むんだよな~)

 

18: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:39:21.32 ID:wcEmlh/t0

瑞樹「魔法使い宣誓」

留美「夜が深まり、今灰被りの嘆きが聞こえる」

ちひろ「我が命尽きるまで妻を娶らず、財を得ず、子を作らず。冠をかぶらず、栄光を掴まず。生涯我が責務を全しよう」

留美「我は南瓜の馬車。我は豆拾いし鳩。我は灰被りを見守るはしばみ」

ちひろ「我が命と名誉を硝子の靴に誓う、この灰被りとこれから嘆く全ての灰被りの為に」

瑞樹「社長室に飾ってあるアイドルマスターの碑文よね」

P(何それ僕知らない)

留美「カビの生えた古めかしいだけの宣誓よ。今時守ろうとしているのは社長位よね、未だに独身を貫いているし」

ちひろ「プロデューサー就任時に希望者は誓いを立てる事が許されていますけれど、私の知る限り誓ったプロデューサーは一人もいませんね」

文香「……そうですか……プロデュースとは辛く厳しい道程なのですね」

 

19: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:44:03.73 ID:wcEmlh/t0

千秋「御免なさいPさん、貴方の事を誤解していたわ。
その日その日をただ何となく過ごしているだけの昼行燈みたいな人間だと判断していたけれど、そんなにも高い志を持っていただなんて」

P「あーいえその、ほら僕社長の鞄持ちもやっていましたのでその際に訓示を頂きましてね。単なる受け売りですよ。
それにプロデュースコンペに合格するまでは、口先だけの見習いマネージャーですから。あまり真面目に受け取らないで下さい」
(黒川さんあなたの見立ての通りです。僕らは碌に話した事がないのに人物像を的中させるだなんて、人を見る目が有りすぎる)

瑞樹「謙遜は美徳だけれども、度が過ぎると嫌みになるわよ」
(ふふ、P君ったら皆の前でカッコつけたかったのね)

留美「カップも空になったし、此処までにしましょうか」
(男の子って本当に単純よね、焚き付ければやる気になるんだから)

ちひろ「とても楽しい御茶会でしたよ。事務所閉めますのでお忘れ物無いよう願います」
(髪の長い子だと、デビュー候補は文香ちゃんと千秋ちゃんですよね。上手くお二人のプロデュースができるよう応援しています)

何故あの場に3人もの女神が存在し、手助けをしてくれたのかは分からない。
だけどあの日を過ぎてからもプロデューサーを目指す気は欠片もなかったこの僕が、取り返しのつかない言葉を口にしてしまった事だけは確かだった。

和久井留美(26)
https://i.imgur.com/mLkTwdF.jpg

千川ちひろ(??)
https://i.imgur.com/CaaueDt.png

鷺沢文香(19)
https://i.imgur.com/xUgleKC.jpg

黒川千秋(20)
https://i.imgur.com/SWPFfLU.jpg

 

20: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:45:51.34 ID:wcEmlh/t0

文香「送っていただき……ありがとうございました」

P「いえいえ、このくらい当然ですよ。それではおやすみなさい」

文香「あの……宜しければ……どうぞ中へ。お茶を差し上げたいので」

P「それだと僕が送り狼になってしまいますよ。鷺沢さんはもう少し警戒心を持って下さい」

文香「大丈夫です……一時間もすれば叔父さんが帰ってきますから。
夜風で体も冷えたでしょうし……一杯だけでも……」

P「そこまで言われるならば、上がらせていただきます」
(袖をちょこんと掴まれるだけでも、断る気が消えてしまう。鷺沢さん小動物系でカワイイ)

 

21: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:46:45.50 ID:wcEmlh/t0

―――

文香「どうぞブランデー紅茶です……叔父さん秘伝のレシピですが……Pさんにだけ特別です」

P「どうも、頂きます。確かにこれは体が温まりそうですね」

文香「実は……アイドルという仕事を……まだ理解できている自信がありません」

P(そうか、不安だったんだな。もしかしたら女子会への参加も先輩アイドルに悩みを打ち明けたかったからなのかもしれない。
なのに僕らはどうでもいい事ばかり話してしまって―――いや反省は何時でも出来る)

文香「……人と話すのは……苦手です」

P(彼女にとって僕はプロデューサーなんだ。本当は無気力な見習いマネージャーなのに、嘘を吐いてしまった。
何時かは真実が明らかになるだろうけれど、今日ぐらいは嘘を本当にしても良いだろう)

文香「……目を合わせるのも苦手で」

P(真剣に彼女と向き合わないと……あれ、駄目だ。瞼が重い~~~)

 

22: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:47:47.91 ID:wcEmlh/t0

P「ハッ、あれ、ここは。もしかして僕寝てました?」

文香「……数十秒程ですが……もう1杯どうぞ。
……もし……アイドルになったら、何か変われますか? ……私も」

P(川島さんも酔っていたしこの紅茶、酒豪の為の配合なんじゃ~~~)

文香「……あの、すみません」

文香「Pさん、Pさん寝てるんですか? ……それじゃあ、靴下脱がしますね」

P「zzz」

 

23: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:48:32.05 ID:wcEmlh/t0

文香「やっぱり、お仕事が忙しくてぜんぜん手入れ出来てませんね……すごく臭いです」スンスン

文香「いただきますね。ん、しょっぱい……もっと涎で柔らかくしないと」ハムハム

文香「知っていましたか? 古代人の夫婦は愛情を示す為にお互いの足の爪を短く食いちぎっていたんですよ」ガシガシ

文香「御茶会の時、あんなにも情熱的な目で見つめられて……Pさんも気がついて下さったんですね」ぺろぺろ

文香「Pさんは先のサタンの反乱によって、エデンを追われた私のアダムなんです」ぴちゃぴちゃ

文香「歯応えがあって美味しい。全部私が食べてあげますね」ポリポリ

文香「イブはアダムの肋骨から生まれました。ですからPさんの骨を求めるのは自然な事なんです」ごっくん

 

 

26: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:52:23.74 ID:wcEmlh/t0

P「ハッ、あれ、ここは。もしかして僕寝てました?」

文香「……20分程ですが」

P「このひざ掛けは?」

文香「私の予備です」

P「すみませんでした無礼な真似を。
もう良い時間ですのでお水いただいたらお暇致しますね。お酒抜いておきたいので」

文香「はい……おやすみなさい」

P「叔父さんにもよろしくお伝えください。秘伝の紅茶確かに美味しかったです」

文香「また……何時でも……どうぞ……お待ちしています」

 

 

27: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:53:22.91 ID:wcEmlh/t0

P「奏、お茶を入れてくれないかな?」

奏「あら、どんな風の吹き回し? 火遊びがしたいのかしら、御勉強忙しいんじゃないの」

P「きりが良から休憩にするよ。のあさんからコツを教わっていただろう? 奏のお茶はどんな味になるのかなって思ってさ」

奏「なーる。それじゃ味を確かめて貰おうかしら」

 

28: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:54:47.43 ID:wcEmlh/t0

――――

P「味が無い」

奏「白湯だもの」

P「その心は?」

奏「何も入れていないって事よ」

P「そうか俺は奏の愛情を受け取れないんだな。ショックだ」

奏「誘って惑わせるから誘惑っていうのよ。確かに釣り餌は魅力的だけれども誘いに乗るのはねえ、罪つくりさん。
噂になっているなか、媚を売るのは露骨じゃない」

P「不勉強でな、その噂と言うのが分からない」

奏「ウチのアイドルは大半がセルフプロデュースでしょう?
そんな中でプロデューサー候補が現れたとなれば、騒ぎにならない方がおかしいわよ」

 

29: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:56:23.92 ID:wcEmlh/t0

P「候補も何も、まだ社内コンペ用の企画書すら提出していないんだが。昨日の今日の話だろう。
奏は羅針盤のあるアイドル活動に興味はないのか? それともやっぱり俺が担当になるのは不満があるのかな、これはもしもの話だけれども」

奏「私はね選ばれたいんじゃないの、選ばせたいのよ。Pさんに、私の事を、ね」
『本当はプロデュースなんて受け持つ気はないんでしょう? 言葉を選ぶよう忠告したはずだけど』

P「皆が奏の様に、察しが良いと楽なんだがなあ。それとなく黒川さんにでも伝えてくれないかな、直接言うのはちょっとね」

この時もまた奏は囁きながら僕の背に軽く爪を立てていた。今にして思えばあれは奏なりの最後通牒だったのだろう。
だけど僕の舌は滑らかに口を突き、放たれた言葉を取り戻す事は出来なかった。

千秋「小言があるならばありがたく拝聴するわよ。それが私を高めてくれるものであればですけれども」

P「( ´゚Д゚)・;’.、カハッ」
(げえっ、黒川さん)

 

30: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 22:59:09.43 ID:wcEmlh/t0

奏「今ねPさんの秘密について話していたのよ。見てあげて」

千秋「簿記の教本よね。どうしてPさんが勉強なんてしているのかしら」

P「見習いを卒業したら自由時間も取れなくなりますので。配置変更願いを出す前に経理の勉強をしておきたかったんです。
何の実績も無いと申請は却下されますからね」

千秋「ますます分からないわね。Pさんはプロデュース志望なのでしょう? 簿記が私とどう繋がるのかしら」

P(内勤の事務職になれば、ちひろさんの近くに毎日居られるからな。
外勤と違って業務時間はほぼ固定だし、食事に誘う機会も増やせるはず。とは言えこれを直接話すのは恥ずかしいな)

奏「新人じゃ大きな企画を出しても信用されないから、社内コンペではプロデュース予算と採算性の面から数字を出して攻めていくそうよ」

千秋「身の程を知りまずは足元を固めろと言いたいのね、耳が痛いわ。別にレッスンを疎かにしていたつもりはないのだけれど。
心の底にあるデビューの叶わない現状への不満と焦りが動きを鈍らせて、オーディションでは審査員の不評を買っていたのね。
確かに経営者の視点に立ってみれば、ぽっと出の新人には大きな仕事を任せたくはないわ」

 

31: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:00:42.62 ID:wcEmlh/t0

P(あれ?)

奏「鳴かず飛ばずだった篠原さんは専任が付いてから、オーディション巡りをせずディナーショーで荒稼ぎしているし羨ましい話よね。
自分の事を理解してくれて、魅力を引き出すお仕事を作り出してくれる人が何時でも傍にいるんだから」

千秋「そうよね、トップへと至る道は1つだけじゃない。だけれども遠回りこそが最短の道だとはにわかに信じられないのよ。
普段からあっちへふらふらこっちへふらふらしているようにしか見えないPさんだからこそ、辿り着ける境地なのかしら」

P「急がば回れとの格言がありますので」
(また話がおかしな方向へ進んでいるな。奏は俺に何をさせたいんだ?)

千秋「御茶会に続いて有意義な時間だったわ。新たな視点を得て今日のレッスンは実りあるものになりそうよ。
高く飛ぶ為にも、まずはもっと低く屈んでみせるわ」

 

 

32: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:02:14.67 ID:wcEmlh/t0

P「御代わりを頼めるかな?」

奏「……優しいなぁ。そのせいで傷つく人もいるのに。……ひとりごとよ」

P「全部俺が悪いんだろう。それぐらい分かっているよ。
奏には何度も助けてもらっていたし、今回に限って文句を言うのは筋違いだ……もちろんこれはひとりごとだけど」

奏「ふふっ、気付いたことは褒めてあげる。そういうトコロ、大事だよ。色々言ったけど、女は嘘つきなの」
『特に誰が聞いているのか分からない事務所ではね。体面と本音を使い分けられるのが大人のいい所よ♪』

P『心配しなくても大丈夫。自分が付いた嘘だ、責任を取って企画書は締切までに提出するよ。
だけどそれだけだ。多分俺が奏の担当に割り当てられる事は無いよ』

 

33: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:04:21.12 ID:wcEmlh/t0

奏「Pさんが誰を担当するかは分からないけれど、皆が信じてるから。女の期待応えてみせてよ」

P「甘いね。隠し味、今回は分かったよ」

奏「ココアが甘いのは、甘くなって欲しいからよ。二人の関係が、ね」

P「ほろ苦さも……嫌いじゃないけれど」

奏「誰でも甘い方が好きよ……色々ね」

背の爪痕が疼いた。
この痛みを忘れないうちは、きっとまだどうにかなるだろう。そんな風に考える僕は、まだ若くどこまでも愚かだった。

 

 

34: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:05:34.03 ID:wcEmlh/t0

P「ただいまー」

周子「おかえりなさい、Pさん。ベッド借りてるよ」

P「そうか」

周子「……」

P「……」

周子「怒らないんだね」

P「まあな。仕事がしたいから静かにしててくれよ」

 

35: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:06:55.33 ID:wcEmlh/t0

―――

周子「……」

P「……」

周子「何も聞かないんだね」

P「合鍵捨ててなかったんだな」

周子「捨てたよPさんとこの植木鉢の中に、で今日それを拾ったの」

P「そうか」
(駄目だな、二時間悩んでもプロデュース案が何も思い浮かばない。元々やる気はなかった上に、誰をプロデュースするかも決めていないしな)

周子「何も言わないんだね」

P「夜食はファミレスで良いか? ここの近くの」
(よし、お仕事中断。業務の合間に社内で資料を集めてそれからまた改めて考えよう)

 

36: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:09:34.66 ID:wcEmlh/t0

周子「初めて会ったとこ? やだよサービス悪いし。
おうどんが良いな。昆布といりこの合わせ出汁で、甘くないお揚げの乗ってるやつ」

P「お揚げか。夜食はもっとこうガッツリ食べたいんだが、肉うどんじゃだめか?」

周子「お肉は辛いかな~、多分戻しちゃう」

P「調子悪いのか?」

周子「大丈夫、病気じゃないし。献血の帰りなんだけど、気分悪くなっちゃってさ。
Pさんのアパート近くにあったの思い出したから、寄らせてもらったの。寝てりゃ治るからへーきへーき」

P「ならこのチョコレートは謝礼に貰っておくぞ」

周子「駄目だよ、ご飯前なんだから。Pさんがご飯食べてからならいいけど」

P「材料買ってくるけど、他に欲しいものは?」

周子「電気消して欲しいかな。明るいとこ辛いんだ」

 

37: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:10:27.57 ID:wcEmlh/t0

―――

周子「煮干しと昆布の合わせ出汁だね、美味しいよ。お揚げもきざんでくれてるし」

P「いりこ? は煮干しだったよな。ファミレスなら関西風が確実に出てくるけれど」

周子「これが良いよ。Pさんがシューコの為に作ってくれたんだし」

P「愛情が入れてあるからな」

周子「Pさん、そーゆーの気色悪いから止めてって前にも言ったよね」

P「隠した方が良かったかな? 隠し味なだけに」

周子「真面目な話だよ、あたしを拾ってくれたPさんには感謝してる。
だからこそそーゆーさ、心無い言葉を言われるのだけは耐えられないよ」

P「周子をスカウトしたのは社長だろ。親父さんの説得に京都へ出張したのもな。俺が感謝される筋合いはないよ」
(地雷を踏み抜いたか。お、落ち着くんだ、こんな時は周子のチョコを食べて脳に糖分を―――てっなにこれ苦っ、錆臭っ。
今時の献血所はこんな不味いチョコ配布してるのかよ。吐き出す訳にもいかないしうどん汁で流し込めばどうにか)

 

38: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:13:26.08 ID:wcEmlh/t0

周子「Pさんはシューコのプロデュースしてくれんの?」

P「そんなもんする気はないぞ。ほれ見ろ企画書、真っ白だろ」

周子「白くてきれーだね―――のあぴょんみたいでさ」

P「担当するならば、のあさんはとても魅力的な候補だね」
(実際マネージャーに専念するのであれば、のあさんが一番楽なんだよな。あの人自分で仕事取ってこれるし。
でもプロデューサーになるとすれば、セルフプロデュースの出来る娘へはまず割り当てられないだろうしな)

周子「スカウトはしない、プロデュースもしない。じゃあなんでさ、あの日あたしの事泊めてくれたの」

P「ファミレスの前で美人が独り星を眺めて黄昏てるんだ。
男ならば誰だって、あわよくばと思って声をかけるだろ」

周子「そーだよね。深夜営業のファミレス探して歩く家出娘相手なら、乱暴目的で声かける人いるよね。
でもさー、第一声が【探すのに疲れました。どうかお願いですから僕の家へ来てください】ってのはどう考えても変だよね」

 

39: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:15:44.73 ID:wcEmlh/t0

P「ティン! と来たんだよ。そうすれば捕まえられるって。
それに周子だってホイホイついてきたじゃないか。変なのはお互い様だし、昔の話は止めよう」
(星を眺める周子の後姿を、のあさんと見間違えたとは言えないよな。話がこじれるだけだし)

周子「何かしてきたら抵抗する気だったよ。スタンガンくらい持ってるし。
でもさアパート着いたら合鍵渡して部屋教えて、Pさん直ぐいなくなったじゃん。
夜回り紳士のつもりなの? 朝になっても帰ってこないし」

P「引っ越したばかりで盗まれて困る物も無かったし、まあいいかなって。食器片づけるぞ」
(あの日はちょうどのあさん相手に鬼ごっこの最中だったからな。オフは半日付き合いますなんて言うんじゃなかった。
夜の21時から朝の9時まで12時間、あれやこれやできっちり遊ぶ羽目になるとは誰が予想できるんだよ)

 

40: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:17:41.75 ID:wcEmlh/t0

周子「アパート出た後やっぱり行く当てなくてさ、ふらふらしてたら社長にスカウトされたんだ。
事務所行ったらPさんいるんだからね。ズルいよそんなの。運命かもって勘違いさせるだなんて。
レッスン受けてセルフプロデュースでDランクまで這い上がったのも、恩返しだと思って柄にもなく頑張っちゃったからだし」

P「こっちも驚いたよ、アイドル候補生として周子がやって来たんだから」

周子「Pさんなら人生預けても良いかなーって思ってたし。アイドル人生まだまだだしね。
アイドルとして輝けばPさんがあたしの事、もっとちゃんと見てくれるんじゃないかって。
ずっとさ、夢を見てたよ……だけどPさんはシューコとあたしのどちらも選ばなかった」

P「あーいや、何と言えば良いのか、その、すまん」

 

41: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:19:54.20 ID:wcEmlh/t0

周子「いいよ、Pさんつれないのも本気でプロデューサーになりたいからなんだよね。
あたしは結局Pさんのアイドルにも恋人にもなれなかったけど、応援は……してるからさ。
勝手に期待して独りで舞い上がって、シューコはさーホント馬鹿みたいだよ」

P「塩見さん。その点につきましては多大な誤解が含まれておりますので、弁明の機会を頂きたいのですが」

周子「来んといてや。それ以上近こう来ぃはったら、大声出しやすゑ」

何かが壊れた。僕らの間に存在していた、穏やかで温かく大切な何かが。
いや、大切にしていたのは周子だけだったのかもしれない。思い出そうと試みる、僕が壊した、大切な何かを。
すぐそこにあったはずなのに……ぞんざいに扱うばかりで、それが何であったのかを僕は覚えてはいなかった。

 

43: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:22:45.06 ID:wcEmlh/t0

P「分かったよ。俺は床で寝るから夜中に踏むのだけはやめてくれよ」

食べ残しのチョコに噛り付き、吐き気を堪え完食する。
周子が僕へ心を開く事は二度とないのだと、けっして忘れぬように。
背の爪痕はもう疼かなかった。

周子「Pさん、寝てるー?」

周子「寝てるよね」

P「zzz」

 

44: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:24:50.75 ID:wcEmlh/t0

周子「それじゃ、ふくらはぎ見せてね。するする~と」

周子「シューコってばさ、すっごい健気だったっしょ。ぐっと来てたよねー」

周子「うーん、Pさんの静脈はここかなー。消毒しちゃうかんね、ヒヤッとするよー」

周子「アイドルシューコの演技力、見損なっちゃだめだよPさん。押して駄目なら引いてみなってね」

周子「ゴム管でグイッと絞めて、無痛針だから痛くないかんね。採血のお時間ですよー」

周子「あたしの泣き顔なんてなかなか見れないよ。これはもう責任取って貰わないとね」

周子「今日は3本で勘弁したげる。10ccくらいかな~、Pさん若いからへーきへーき」

周子「ん、すご。ドロっとしてて、臭くてにっがい。生娘にこんな不味い物飲ませるなんて、Pさんってば鬼畜」

周子「2本目行くよ。うぇ、歯と喉に絡みつく。でもPさんの生命のスープだから全部飲んであげるね。シューコってば良い娘でしょ」

周子「美味しい。こんなに美味しく感じるのはPさんのだからだよね。3本目はおやつに取っとくかんね」

 

 

45: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:25:42.66 ID:wcEmlh/t0

P「最悪の目覚めだ。周子の奴、目覚まし時計の電池抜いて帰りやがった」

P「夢見が悪かったおかげで早朝に目覚めたが、普段だったら絶対に遅刻していたな」

P「朝飯は―――やめておこう。昨夜のチョコのせいか何か胸焼けしていて食欲無いし、シャワー浴びて出社と行きますか」

 

47: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:27:16.63 ID:wcEmlh/t0

―――

P「はて、俺の机に見知らぬ保冷バックが」

ちひろ「千秋ちゃんからの言伝ですよ。【昨日の助言への感謝の証としてお納めください】って、Pさんてば愛されちゃってますね。
もう、にくいですよ。このっ、このっ」( ´∀`)σ)Д´)

P「これ中身バーガー1個ですよ。僕の様な庶民にはこの程度の対応が適切との判断なのでしょう」

ちひろ「えっ! ハンバーガーだけって。
千秋ちゃん今日はオフなのにわざわざ朝早く事務所へ来ましたから、心づけなのかなと」

P「例の噂もありますから、黒川さんはその手の賄賂工作と誤解される贈り物はなさらないと思いますよ。彼女真面目ですし、純粋な返礼なのでは?
バーガーを選ぶセンスは兎も角朝飯抜いてきているので、高級石鹸やタオルみたいな贈り物よりも僕は余程嬉しく感じます。
これがもしも本当に山吹色のお菓子でしたら、ちひろさんに口止め料としておすそ分けできたのですが。残念でしたね」

 

51: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:30:03.05 ID:wcEmlh/t0

P「さてお味はっと」
(プライドの塊が服を着て歩いてるような人だと思っていたけれど、黒川さんは社交的なのかな? 女子会にも顔を出していたし)

P(うーまーいーぞー!!
手に持った弾力と焦げ目の無さ、そして香ばしさの無い歯ざわりは種なしパン。
バーガーの土台となるバンズに、味の弱い種なしパンを使うは邪道。
しかし噛み締めると共に口内で弾ける穏やかな辛み。これはグリーンペッパーをひかずに丸ごと入れてあるのか。
合挽肉は6:4。牛と豚がほぼ同等の配合。冷温状態で食べる事を見越して、融点の低い豚の脂を味わわせている。
そうかわかったぞ! これはバーガーではない。味の主役はあくまでもハンバーグ。
塗り付けであるオニオンゼラチンは味付けではなく、サイドメニューのオニオンスープを模したものか。
ならばこれは肉を食べさせる為の料理。いわばハンバーグ弁当を一口にまとめたものなのだ!!!)

P(胸焼けなんて一口で吹き飛ぶこの美味しさ。もしも首藤Pさんがこれを食べれば巨大化して大阪城と合体だって出来るだろうな。
直ぐに全部食べるのはもったいないし、残してお昼にじっくりと味わおう)

ちひろ(一口で止めちゃった。あんまり美味しくないのかしら?)

 

 

53: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/01/16(木) 23:32:24.74 ID:wcEmlh/t0

P(お、保冷材の下に手紙が入れてあるな。
【この様な形での返礼となりましたこと、平にご了承を。大学へレポートを提出せねばならず、時間に追われておりますもので。
男の方はお肉が好きでしょうし業務の合間に気軽に食べられるものとして、当初はカツサンドを予定し

   SSまとめアンテナトップページへ
SSの話題が沢山。